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第2回:障害児通所支援事業は「義務対象」と「対象業務」のまとめ

  • 投稿:2026年01月17日
第2回:障害児通所支援事業は「義務対象」と「対象業務」のまとめ

本記事は、2026年施行予定の「こども性暴力防止法(日本版DBS)」に関する連載解説の第2回目です。今回は、放課後等デイサービスや児童発達支援などの「障害児通所支援事業」が、法律上の「義務対象事業者」にあたることを明確にした上で、具体的に「どの職員がチェック対象になるのか」を掘り下げます。

日本版DBS:障害児通所支援事業はどうなるの?

日本版DBS(こども性暴力防止法)解説シリーズの第2回です。

前回は制度の全体像を解説しましたが、今回からは経営者の皆様が最も気になっているであろう「実務」に踏み込んでいきます。

「うちは放課後等デイサービスだけど、法律の対象になるの?」

「直接支援員だけチェックすればいいの? 送迎ドライバーや事務員さんは?」

こども性暴力防止法(通称:日本版DBS)は、対象となる事業者・従事者に対して、性暴力防止に関する措置の実施を義務付ける法律です。今回は、こうした現場の疑問に対し、最新のガイドラインに基づき、障害児通所支援事業(放課後等デイサービス・児童発達支援等)において、どのように「義務対象」と「対象業務」が整理されるのかをわかりやすく解説します。

指定障害児通所支援事業は「義務対象事業者」です

 1. 指定障害児通所支援事業は「義務対象事業者」です

まず結論から申し上げます。 児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの「指定障害児通所支援事業」は、本法における【義務対象事業者(学校設置者等)】に該当します。

こども性暴力防止法(正式名称:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)では、子どもに対する性暴力を防ぐため、事業者を大きく以下の2つに分けています。

  • 学校設置者等(義務対象): 法令により設置・運営が義務付けられる教育・保育施設等。 (例:学校、認可保育所、児童養護施設、障害児通所支援事業(児発・放デイ等) など)
  • 民間教育保育等事業者(認定対象): 国の認定を受けた教育・保育サービス提供事業者など。 (例:学習塾、スポーツクラブ、認可外保育施設 など)

一般的に、学習塾などは任意の「認定」を受けることで法の対象となりますが、指定障害児通所支援事業者は、教育・保育等に準じた「子どもとの継続的関わり」を持つ事業として、学校や認可保育所と同様の「義務対象」として位置づけられています。

これは、「法律の施行と同時に、安全確保措置(犯歴確認など)を講じる義務」 が発生することを意味します。 「うちは小規模だから関係ない」ということはありません。公的な給付費を受け取り、子どもたちの療育を担う公的な責任があるため、最も厳しい基準が適用されるとお考えいただきたいです。

障害児通所支援事業が「義務対象」とされる背景

なぜ、障害児通所支援事業所が、任意の「認定」ではなく、より厳しい「義務」の対象とされたのでしょうか。

こども性暴力防止法は、教育・保育等の場における性暴力を未然に防止することを主目的としています。 特に、障がいのあるお子さんを支援する通所支援の現場は、単なる習い事とは異なり、「日常的かつ継続的に子どもと密接に関わる場」です。

お子様の安全確保は、事業運営における最重要の責務であり、その責任の重さは学校や保育所と何ら変わりません。そのため、本法においても、選択制ではなく、必ず取り組まなければならない「義務対象事業者」として位置づけられています。

義務対象となる職種や、対象業務。誰が対象?

では、事業所内の「誰」について、こども家庭庁への犯歴確認(日本版DBSチェック)を行わなければならないのでしょうか。

法律では、対象となる職員を「教員等(対象業務従事者)」と定義しています。 障害児通所支援事業所においては、具体的に以下の職種がガイドラインで例示されています。

  • 管理者
  • 児童発達支援管理責任者
  • 児童指導員
  • 保育士
  • 機能訓練担当職員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等)
  • 看護職員
  • 指導員
  • その他、報酬算定の対象となる職員、

基本的には、「子どもと直接関わる支援員」は全員対象となると考えてよさそうです。常勤・非常勤・パート・アルバイトといった雇用形態も関係なさそうです。

さらに、上記のような専門職だけでなく、支援現場で子どもと接する可能性がある立場の方も対象となる可能性があります。具体的には以下のような業務が想定されます。

  • 送迎スタッフ: 子どもの送迎に関わる業務
  • 保護者対応・面談実施者: 子ども・保護者との面談や相談対応を行う業務

義務対象かどうかの重要な判断基準として、「子どもとの関わりの継続性・頻度」という観点も制度運用上のポイントとなります。

「この人は対象?」迷いやすい仕事の判断基準

 この法律では、正社員だけでなく、施設に関わるさまざまな人が「子どもを守るための対策(チェックなど)」の対象になります。 具体的には、次のような人たちも広く含まれます。

  • 正規雇用・非常勤雇用にかかわらず、子どもに直接関わる従事者
  • 派遣職員・契約スタッフ・業務委託スタッフ
  • 実習生・研修生など、支援現場に入り子どもと関わる者

特に、支援現場で日常的に子どもと接する立場の者は、性犯罪歴の確認や安全確保措置などの義務措置の対象となる可能性が高いとされています。

しかし、「支援員ではないけれど、子どもと接する機会があるスタッフはどうなるの?」という疑問も生じやすいでしょう。 ガイドラインには、具体的な職種の判断例が掲載されています。現場の実態に合わせてご判断ください。

① 送迎ドライバー(バス運転手等)

【対象になる例】

  • 同乗職員がおらず、ドライバー1人で送迎を行っている場合。特に、最後の子どもを降ろす際などに「1対1」になる(閉鎖性が生じる)可能性がある場合は対象となります。

【対象にならない例】

  • 常に添乗職員が同乗しており、ドライバーが子どもと2人きりになることが物理的にない場合。

② 事務職員・調理員・清掃員

【対象になる例】

  • 事務作業だけでなく、保護者面談中に別室で子どもの面倒を見るなど、業務として子どもと接触し、他の職員がいない状況が生じうる場合。

【対象にならない例】

  • 電話対応や調理業務のみに従事し、子どもとの接触がほとんど想定されない場合。

③ ボランティア・実習生

  • 【ボランティア】
  • 学習支援などで定期的に通い、個別に教えるような場合は、雇用契約がなくても、支配性・継続性・閉鎖性を満たせば「対象」となります。
  • 【実習生】

学校の実習計画において「指導教員等の監督の下で子どもと接する(1対1にさせない)」ことが担保されている場合に限り、対象外となります。 逆に、実習計画上で子どもと1対1になることが予定されている場合や、実習期間が長期にわたる場合は対象となります。

④ 外部委託・派遣スタッフ

派遣職員の場合、基本的には派遣元(派遣会社)が犯歴確認を行う義務を負いますが、受け入れ側(事業所)も、契約時に『DBS確認済みであること』を証明させ るなどの体制整備が必要になりそうです。

まとめ:経営者様が確認すること

今回は「どこまでが対象か」について解説しました。 最後に、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の経営者様が押さえておくべきポイントを整理します。

  1. 放デイ・児発は「義務対象」です 選択制の「認定」ではなく、法律で義務付けられた対象事業者です。避けては通れない取り組みですので、まずはこの認識を組織全体で共有しましょう。
  1. 直接支援員は「全員」チェック対象です 資格の有無や、常勤・パート・アルバイトといった雇用形態は関係ありません。子どもと直接関わる支援員は全員、法の対象となると思われます。

3.送迎ドライバー等は「1人になるか」で判断します 支援員以外のスタッフ(送迎・事務・調理  等)については、「①子どもと接するか」「②指導や監督(世話)を行うか」という業務内容に加え、リスク要因である「支配性・継続性・閉鎖性」を考慮して判断します。特に「1人での送迎」など、密室になる可能性がある場合は、対象に含めるのが安全です。

  1. 自社のスタッフリストを精査しましょう 上記の基準をもとに、誰が対象で誰が対象外かを、今のうちからリストアップして整理しておきましょう。

この制度は単なる「義務」ではなく、子どもたちの安全を守り、保護者からの信頼を築くための大切な仕組みです。

次回は、「日本版DBSで具体的に何を確認するのか(特定性犯罪とは)」、そして「前科が見つかったら即解雇なのか?」という、制度の核心部分について解説します。

 ※本記事は、制度理解のための一般的な情報提供を目的としています。
  個別の事業内容・運営体制に応じた対応については、各専門家への確認をおすすめします。

 ※参考サイト こども性暴力防止法(こども家庭庁)

https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

この記事の監修者について

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士

障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。

経歴

  • 2021年8月
     許認可業務専門の「とおる行政書士オフィス」を設立
  • 2023年3月
     障がい福祉分野への専門特化に伴い
     「あいまり行政書士オフィス」へ事務所名を変更
  • 2024年7月
     「あいまり行政書士法人」 として法人化 (現在:4名体制

専門分野

障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)

障害福祉事業の開設支援・顧問対応

運営指導・監査対応

法改正・制度対応(日本版DBS 含む)

背景・活動

高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。

セミナー・登壇実績

障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」

行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー

事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」

情報発信(←リンクあり)

  • X(公式):あいまり行政書士法人
  • X(個人):代表・千葉直子
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