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【令和8年版】障害福祉人材の処遇改善はどう変わる?対象拡大と加算要件の実務ポイントを徹底解説

  • 投稿:2026年03月08日
【令和8年版】障害福祉人材の処遇改善はどう変わる?対象拡大と加算要件の実務ポイントを徹底解説

令和8年(2026年)の障害福祉サービス分野において、本来の改定時期を待たずに「期中改定」として処遇改善などの緊急対応が実施されることが発表されました 。
本記事では、厚生労働省およびこども家庭庁の最新資料をもとに、加算対象の拡大やICTツールの必須化、相談支援サービスへの加算新設など、事業所が押さえておくべきポイントをあいまり行政書士法人が解説します 。「誓約」で進める際のお金を返すリスクや今後のスケジュールについても、専門用語を噛み砕いてやさしくお伝えします 。

【令和8年版】障害福祉人材の処遇改善はどう変わる?

令和8年度(2026年度)の障害福祉分野において、事業所運営に関わる大きな動きがありました。

令和8年2月18日に厚生労働省およびこども家庭庁が合同で開催した「第53回 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の公表資料(資料1)にて、本来の改定時期である令和9年度を待たずに、「期中改定」として処遇改善などの緊急対応を実施することが示されました 。

本記事では、あいまり行政書士法人がこの最新の行政資料を読み解き、今回の改定内容の全体像から「加算を確実にとるために、現場が今すぐ準備すべき特例要件の実務ポイント」まで、専門用語をかみ砕いてわかりやすく徹底解説します。

なぜ今、期中改定なのか?改定の大きな流れ

障害福祉サービスにかかる費用が急激に増えていることや、障がい福祉事業スタッフの人手不足がこれまで以上に深刻になっていることを受けて、制度を長続きさせつつサービスの質を高めるための緊急対応が行われます 。

今回の見直しによる改定率は「+1.84%」(令和8年度の予算に換算すると、国費で+313億円の影響)という大きな規模になります 。 具体的には、現場で働く方々のお給料を上げるために、次のような枠組みが用意されました。

  • 障害福祉で働くスタッフ全般を対象に、幅広く「月1.0万円(3.3%)相当」の賃上げを目指します 。
  • 業務の効率化(生産性向上)や他法人との協力(協働化)に取り組む事業所の福祉・介護職員には、「月0.3万円(1.0%)相当」が上乗せされます 。
  • これらを合わせると、福祉・介護職員については、定期昇給分(0.6万円)を含めて最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する計算です 。

これは単なる数字の調整ではなく、「人材を確保すること」と「現場の業務効率を上げること」を強く結びつけた、国からのメッセージ性の強い改定と言えます。

令和8年度改定で絶対に押さえておきたい「4つのポイント」

今回の見直しの重要ポイントは、大きく以下の4つに分けられます。

① 加算をもらえる対象が「福祉・介護職員」から「障害福祉で働くスタッフ全員」へ広がります

  • これまで加算の主な対象は「福祉・介護職員」でしたが、今回から「障害福祉従事者」全般へと対象が拡大されます 。
  • 背景には、国の方針(経済財政運営と改革の基本方針 2025)で幅広い職種の賃上げが目標にされたことや、相談支援専門員などの専門職でも人手不足が深刻になっていることがあります 。
  • また、実際の現場でも、加算のお金が福祉・介護職員以外のスタッフにも配分されていたという実態があり、制度をより現場の現実に合わせた形になりました 。

② 業務効率化などに取り組む事業所への「上乗せ加算」が新しくできます

  • 今後も賃上げを続けていける環境を作るため、生産性向上(業務効率化)や協働化に取り組む事業所には、今の処遇改善加算Ⅰ・Ⅱの加算率にさらに「上乗せ」がされます 。
  • 単にお金を配るだけでなく、ICT(タブレットやソフト)を活用して効率化を図る事業所を応援する仕組みです。

相談支援系サービス(計画・障害児・地域)も新しく加算の対象になります

  • これまで処遇改善加算の対象外だった「計画相談支援」「障害児相談支援」「地域相談支援」にも、新しく加算が設けられます 。
  • 新しくできる加算率は、計画相談支援、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)、障害児相談支援のどれも「5.1%」に設定されています 。
  • 加算をもらうための条件として、今の処遇改善加算Ⅳと同じくらいの要件(キャリアパス要件ⅠとⅡ、そして職場環境等要件)を満たすことが求められます 。

④ さらに賃上げや環境改善を進めるため、ルールが厳しくなります

また、「職場環境等要件」についても、取り組むべき項目数が増え、加算Ⅰ・Ⅱでは合計14項目以上、加算Ⅲ・Ⅳでは合計8項目以上に取り組むことが必須になります 。

今の加算のルール(要件)も見直されます。加算Ⅰ・Ⅱでは、「経験や技能があるスタッフ1人以上は、年収440万円以上にする」というルール(キャリアアップ要件Ⅳ)が、加算Ⅰ・Ⅱでは、改善後、賃金年額460万円の要件が示されています。

気になる「新しい加算率」はどれくらい?主なサービスをご紹介

今回の見直しで一番気になるのが、「特例要件(加算Ⅰロ・Ⅱロ)をクリアすると、実際どれくらいパーセンテージが上がるの?」という点ですよね。

特例要件をクリアして「加算Ⅰロ」を取得した場合、これまでの「加算Ⅰイ」と比べて、事業所に入ってくる加算額がしっかりアップします。主なサービスの新しい加算率(一番高い加算Ⅰの場合)をいくつか見てみましょう。

  • 就労継続支援B型:加算Ⅰイは「10.5%」ですが、特例要件をクリアした加算Ⅰロを取ると「10.9%」になります 。
  • 生活介護:加算Ⅰイは「9.3%」ですが、加算Ⅰロを取ると「9.7%」になります 。
  • 共同生活援助(グループホーム / 介護サービス包括型):加算Ⅰイは「16.3%」ですが、加算Ⅰロを取ると「16.9%」にアップします 。
  • 放課後等デイ:加算Ⅰイは「15.5%」ですが、加算Ⅰロを取ると「16.1%」になります 。
  • 児童発達支援:加算Ⅰイは「15.2%」ですが、加算Ⅰロを取ると「15.8%」になります 。
  • 【新設】相談支援(計画・障害児・地域):今回から新しく対象になり、それぞれ「5.1%」の加算がもらえます 。

※これらの加算率は、各種の加減算が終わった後の総報酬単位数に掛け算をして計算されます

このように、新しいルールにしっかり対応することで、より多くの加算を受け取れるようになり、スタッフの皆さんのさらなる賃上げにつなげることができます。ご自身の事業所のサービス種別が何パーセントになるのか、ぜひチェックしてみてくださいね。

実務の一番の壁!「令和8年度特例要件」をクリアするには?

事業所様にとって一番気をつけたいのが、新しくできる「上乗せ加算(加算Ⅰロ・Ⅱロ)」をもらうための「令和8年度特例要件」です。 この特例要件をクリアするには、「アかイのどちらか」と「ウ」を満たす必要があります 。

  • 要件ア(業務効率化の取り組み): 職場環境等要件の「生産性向上(業務効率化)」に関する取り組みを「5つ以上」やること 。
  • 【ここが超重要!】要件アの必須項目: 5つのうち、⑱「現場の課題の見える化」と、㉑「業務支援ソフト・情報端末(タブレットなど)の導入」の2つは絶対にやらないといけない項目(必須)です 。
  • 要件イ(法人の協力体制): 社会福祉連携推進法人という組織に入っていること 。
  • 要件ウ(基本給などへの配分): 加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を月給賃金で配分

つまり、「記録ソフトやタブレットの導入」や「月給を確実に上げる計画」は、「できればやろう」ではなく、一番良い加算をもらうための「絶対条件」になります。

4. いつから始まる?「誓約」で済ませる場合のこわい注意点(お金を返すリスク)

  • 始まる時期: 今回の新しいルールは「令和8年6月」からスタートします 。これは、令和7年度の補助金による賃上げ支援が令和8年5月分までであることや、前回の改定も6月スタートだったことに合わせたスケジュールです 。
  • 「誓約」と返還リスク: キャリアパス要件や職場環境を整える要件などは、準備に時間がかかるため、ひとまず「令和8年度中に必ずやります」という誓約(お約束)をすれば、先に加算をもらうことができます 。

注意してほしいポイント!!

後日提出する「実績報告書」で、実際に取り組みができたかどうかの確認が行われます 。もし、年度内に対応が終わっていなかった場合、受け取った加算のお金の一部、または全部を返還することになってしまいます 。

「とりあえず誓約書を出しておいて、準備は後から何とかしよう!」と急いで進めてしまうと、後になって事業所様にとって思わぬご負担になってしまうかもしれません。焦らずに、確実に実行できるペースで無理なく準備を進めていくことが、何より大切です。

まとめ 事業所様が「今すぐ」準備するべきこと

今回の改定は、ただ賃上げの金額が増えるだけでなく、「タブレットやソフトの導入が必須になる」「相談支援サービスにも加算ができる」など、とても規模の大きな変更です。事業所の皆様は、早急に次のステップを進めることをおすすめします。

  • 配分ルールの見直し: 加算をもらえる対象が「障害福祉のスタッフ全員」に広がったため、誰にいくら配るのかを見直しましょう。特に「月給」へしっかり配分する計画を立てることが大切です。
  • タブレット等の導入と業務の効率化: 上乗せ加算をもらうためには、⑱「課題の見える化」と㉑「業務支援ソフト・タブレット等の導入」が必須です 。今の業務の流れを見直し、どんなシステムを入れるか選び始めましょう。
  • 相談支援事業所の要件チェック: 計画相談などを運営している事業所は、新しくできる加算(5.1%)をもらうために 、キャリアパスや職場環境のルールが整っているか、今すぐ確認しましょう。

ルールの内容を正しく理解し、「今年度中に確実に実行できる計画」を立てることが、加算をしっかりもらい、後でお金を返すリスクを防ぐために重要です。

お早めにお問い合わせをお待ちしております。

あいまり行政書士法人では、こうした複雑なルールの整理から、処遇改善計画書の作成・届出サポート、社内のルール作りのアドバイスまで、まとめてお手伝いしています。令和8年4月、6月のスタートに向けてご不安がある事業所様は、ぜひお早めにご相談ください。

書式について

今後のスケジュールの目安: なお、申請に使う実際の書類(書式)については、国から3月上旬ごろに発表される予定とのことです。その後、順次、各自治体(指定権者さん)からも詳しいご案内が出てくると思います。まずは慌てずに役所からの発表をお待ちいただきつつ、今できる社内の準備から少しずつ始めてみてくださいね。

執筆日:令和8年3月7日

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この記事の監修者について

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士

障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。

経歴

  • 2021年8月
     許認可業務専門の「とおる行政書士オフィス」を設立
  • 2023年3月
     障がい福祉分野への専門特化に伴い
     「あいまり行政書士オフィス」へ事務所名を変更
  • 2024年7月
     「あいまり行政書士法人」 として法人化 (現在:4名体制

専門分野

障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)

障害福祉事業の開設支援・顧問対応

運営指導・監査対応

法改正・制度対応(日本版DBS 含む)

背景・活動

高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。

セミナー・登壇実績

障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」

行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー

事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」

情報発信(←リンクあり)

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  • X(個人):代表・千葉直子
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