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18.5%相当を追加支給!?「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」とは?

  • 投稿:2026年01月11日
18.5%相当を追加支給!?「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」とは?

令和7年12月発表の「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」を行政書士が解説。放課後等デイサービス等で交付率18.5%となる本制度の支給要件、計算方法、ベースアップと一時金の配分戦略、千葉県の申請スケジュールについて詳しく紹介します。

「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」とは?

 「職員を採用したくても、賃金競争で他産業に負けてしまう」 「4月の報酬改定まで、現場のモチベーションが持つか不安だ」

 障がい福祉事業(放課後等デイサービス・児童発達支援等)を運営される経営者の皆様にとって、人材の確保・定着は、いま最も頭を悩ませる「経営の急所」ではないでしょうか。  特に昨今は物価高騰に加え、全産業的な賃上げの波が押し寄せています。福祉現場だけが取り残されれば、人材流出は避けられません。

 そんな中、令和7年(2025年)12月26日、国から極めて重要な通知が発出されました。  それが、今回解説する「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」です。

 この事業のインパクトは、なんといってもその「交付率(補助率)」の高さにあります。放課後等デイサービスなどの場合、なんと「18.5%」。これは従来の処遇改善加算とは別枠で支給される緊急措置です。  本記事では、この緊急支援事業の仕組み、驚きの交付率、こども家庭庁通知より、経営者が押さえるべきポイントを行政書士の視点で徹底解説します。

1:なぜ今、「緊急支援」なのか?制度の背景

 まず、この制度が設けられた背景を理解しましょう。  本来、障害福祉サービスの報酬単価や処遇改善の仕組みは、3年に一度の「報酬改定」で大きく見直されます。次の大きな改定は令和8年(2026年)4月に予定されています。

 しかし、政府は「そこまで待てない」と判断しました。  「『強い経済』を実現する総合経済対策」(令和7年11月21日閣議決定)において、障害福祉分野の人材不足が危機的な状況にあることが再認識されたためです。

 他産業では賃上げが急速に進んでおり、このまま令和8年春の改定を待っていては、その間に優秀な人材が福祉業界から流出してしまう恐れがあります。そこで、「改定までのつなぎ」として、緊急的に賃上げ原資を補填するための補助金(国庫補助)が投入されることになったのです。

 つまり、これは「人材流出を防ぐための防波堤」であり、経営者にとっては「職員を守るための武器」が配られたと解釈すべきでしょう。

:高めの交付率!?サービス別の「交付率」を確認する

今回の通知で最も業界を驚かせたのが、その「交付率」です。 この補助金は、事業所の「報酬総額」に「交付率」を掛けて算出されます。その率が、過去の類似事業と比べても極めて高く設定されています。

 主なサービスの交付率は以下の通りです(通知「別紙1 表1・表2」より)。

【主な対象サービスと交付率】

  • 放課後等デイサービス18.5%
  • 児童発達支援18.5%
  • 保育所等訪問支援18.5%
  • 居宅訪問型児童発達支援18.5%
  • 障害児相談支援47.0%
  • 福祉型障害児入所施設80.8%

 いかがでしょうか。  放デイや児発の「18.5%」という数字は、単純計算で「売上の約2割相当」が追加で補助されるという意味合いになります(※正確な計算式は後述します)。  また、障害児相談支援の「47.0%」、入所施設の「80.8%」という数字は、これまで処遇改善加算の恩恵を受けにくかった、あるいは人件費率が極めて高い業態に対する、国からの強烈なメッセージ(絶対に事業を継続してほしいという意思)とも読み取れます。

交付率

自社は対象?支給要件のチェックポイント(要件があります!)

「金額が大きいなら、すぐに申請したい」と思われるでしょう。しかし、当然ながら要件があります。  通知(実施要綱)に基づき、主な要件を整理します

① 現在、「処遇改善加算」を算定していること

 原則として、基準月(令和7年12月)時点で、既存の「福祉・介護職員等処遇改善加算」を取得している必要があります。  ※もし取得していない場合でも、申請時に「令和8年度中に算定すること」を誓約すれば対象となる特例も設けられています

② 職場環境等要件等の満たし

 取得している加算の区分(Ⅰ~Ⅳ)に応じて、以下の追加要件があります。

  • 加算Ⅱ・Ⅳの場合:職場環境等要件を「8以上」実施していること。
  • 加算Ⅰ・Ⅱの場合:以下のいずれかを実施。
    • 経験・技能のある職員のうち1人以上が年収460万円以上であること。
    • または、職場環境等要件を「14以上」実施していること。

③ 【重要】補助額の全額を「賃金改善」に充てること

 これが大前提です。入金された補助金は、設備投資や運転資金には使えません。全額を職員の賃金(基本給、手当、賞与等)として還元しなければなりません。また、会社負担の法定福利費(社会保険料など)の増加分も含めることができます。※1 

※1 通常の処遇改善は可能であります

4:補助額の算出方法

  いくらもらえるのか、計算のロジックを確認しましょう。  今回の事業は、「令和7年12月」を基準月として計算します。

利用者ごとの補助額 = 基準月(令和7年12月)の報酬総額 × サービス類型別交付率

5:金改善のルール:ボーナスか、ベースアップか

経営者として最も悩むのが、「どうやって配るか」です。  実施要綱には、賃金改善の方法について以下のように記されています。

「安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましいが、障害児通所支援事業所等の判断により、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施しても差し支えない。」

 国としては「基本給(ベースアップ)」を推奨しています。しかし、これはあくまで「緊急支援事業」です。令和8年4月以降の新しい報酬体系がどうなるか確定していない段階で、一度上げた基本給を下げることは労働法上非常に困難です(不利益変更の禁止)。

 そのため、実務上のリスク管理としては以下の視点が必要です。

  1. 「ベースアップ」は慎重に 令和8年度以降も確実に継続できる見込みがある金額のみをベースアップに回す。
  2. 「手当」や「一時金(賞与)」で調整 今回の緊急支援特有の金額分については、「処遇改善一時金」や「特別手当」として支給し、制度変更のリスクに備える。

 また、「職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと」とも明記されています。特定の職員だけに全額支給するといった不公平な配分は認められませんのでご注意ください。

6:申請スケジュールと「千葉県」の動向について

本事業の実施主体は「都道府県」です。  そのため、申請様式や提出期限は、事業所が所在する都道府県の発表を待つ必要があります。

 参考として、先行して情報が出ている埼玉県では、すでに特設ページが公開され、申請受付の準備が進んでいます。  (参考:埼玉県:障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業の実施について

 一方、千葉県については、執筆時点(2026年1月11日現在)ではまだ具体的な申請要領やマニュアルは公開されていません。  しかし、国の通知適用日が「令和7年12月16日」からとなっているため、千葉県でも遠からず詳細な案内が出るはずです。

 【重要】千葉県の事業者の皆様へ  千葉県の案内が出次第、あいまり行政書士法人の公式サイトやSNSでも速やかに情報をアップデートし、ご紹介いたします。  今のうちにできる準備としては、「令和7年12月分の国保連請求の確定情報の整理」と、「就業規則(賃金規程)の確認」です。特に賃金改善の方法を就業規則にどう明記するかは、申請時の添付書類に関わる重要なポイントになります。

7:まとめ:この「原資」をどう活かすか

本記事の要点を 今回の緊急支援事業は、金額的なインパクトが非常に大きい制度です。  しかし、これは単なる「臨時ボーナス」ではありません。

  • 他産業への人材流出を止める
  • 今いる職員に「この会社はちゃんと還元してくれる」という安心感を与える
  • 令和8年の大改定に向けた組織体制を整える

 これらを実現するための「未来への投資資金」です。  「手続きが面倒だから様子見」では、活用する競合他社に採用力で大きく差をつけられてしまうリスクがあります。

 制度は複雑ですが、活用しない手はありません。  あいまり行政書士法人では、この緊急支援事業の申請サポートはもちろん、「一時金で払うべきか、基本給に入れるべきか」といった経営判断に必要なシミュレーションや、就業規則の変更案についてもアドバイスを行っております。

※労務については、「あいまり社労士事務所」提携

 「自社の場合はいくら受給できるのか?」「就業規則はどう変えればいい?」  迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。共にこの難局を乗り越え、選ばれる事業所を作っていきましょう。

 ※参考サイト 埼玉県障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0605/syogukinkyu.html

この記事の監修者について

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士

障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。

経歴

  • 2021年8月
     許認可業務専門の「とおる行政書士オフィス」を設立
  • 2023年3月
     障がい福祉分野への専門特化に伴い
     「あいまり行政書士オフィス」へ事務所名を変更
  • 2024年7月
     「あいまり行政書士法人」 として法人化 (現在:4名体制

専門分野

障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)

障害福祉事業の開設支援・顧問対応

運営指導・監査対応

法改正・制度対応(日本版DBS 含む)

背景・活動

高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。

セミナー・登壇実績

障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」

行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー

事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」

情報発信(←リンクあり)

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