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【緊急解説】「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」とは?全体

  • 投稿:2026年01月19日
  • 更新:2026年03月12日
【緊急解説】「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」とは?全体

令和7年12月に国が創設した「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」は、次期報酬改定を待たずに、障害福祉分野の人材流出を防ぐために実施される緊急的な賃上げ支援制度です。
本記事では、制度の背景や位置づけ、対象事業所・対象職員の範囲、補助額の考え方、賃金改善における実務上の注意点を、障害福祉専門の行政書士が整理して解説します。
「自社は対象になるのか」「何を準備すべきか」を判断するための基礎情報としてご活用ください。

目次

「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」とは?(全体)

こんにちは、あいまり行政書士法人です。 日々の事業所運営、本当にお疲れ様です。

さて、昨今の物価高騰や他産業の賃上げニュースを見て、「うちの職員の給与も上げてあげたいけれど、報酬改定までは厳しい……」と頭を悩ませている経営者様も多いのではないでしょうか。

そんな中、国から「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」という、非常に重要な施策が動き出しています。

一言で言えば、「次の報酬改定(令和8年4月)を待たずに、今すぐ賃上げをするための緊急の補助金」です。

今回は、この制度の仕組みと、「経営者としてここだけは押さえておきたいポイント」を、障がい福祉専門の行政書士がわかりやすく解説します。

「緊急支援」の重要性

 本来、報酬(単価)の見直しは、3年に1回です。 しかし、皆さまも日々実感されている通り、今の日本経済は「来年まで待てる」状況ではありません。

「物価は上がり続ける」 「他業種では給料がどんどん上がっている」 「このままでは、福祉の現場から人がいなくなってしまう」

国もこうした危機感を抱き、「次の改定まで待っていたら現場が崩壊してしまう」と判断しました。そこで今回、特例として急遽用意されたのがこの補助金です。

大切なのは、これが恒久的なルール変更ではなく、「次の改定までのピンチを凌ぐための、一時的な『つなぎ』である」という点です。

制度の概要|いくらもらえるの?

支給額の計算式

事業所の「規模(総報酬)」に応じて計算されます。

補助額 = 基準月(原則:令和7年12月等)の総報酬額 × 交付率

この交付率はサービス種別ごとに決められています。 算出された補助額は、全額を賃金改善(職員への還元)に充てる義務があります。会社に残すことはできません。

対象期間

令和7年12月 ~ 令和8年5月 までの賃金改善分 (※令和8年6月以降は、次期報酬改定での対応に引き継がれる見込みです)

対象となる事業所と職員さんは?

対象事業所

障がい福祉サービス事業所等の広範なサービスが対象です。

  • 訪問系: 居宅介護、重度訪問介護、同行援護など
  • 日中活動系: 生活介護、自立訓練、就労移行・継続A/B型など
  • 居住系: グループホーム、施設入所支援など
  • 障害児: 放課後等デイサービス、児童発達支援など
  • 相談系: 計画相談支援、地域相談支援など(※今回は相談系も対象に含まれています!)

対象となる職員

ここがポイントです。「福祉・介護職員」という職種限定ではありません。 「事業所等の業務に従事している障がい福祉従事者」であれば、職種を問わず広く対象にできます。 (※ただし、役員等は原則対象外となるケースが一般的です)

各事業の交付率です

もらうための要件(ここ重要です!)※ご不明な場合はご相談

  制度の対象となるには、原則として「令和7年12月(基準月)」時点で、以下の要件をクリアしている必要があります。

ただし、ここが一番のポイントです。 現時点でクリアしていなくても、「令和8年度中(~2027年3月)にやります!」と誓約(約束)すれば、申請OKとなるケースがほとんどです。

「今はまだ出来ていないから……」と諦めず、まずは要件を確認しましょう。

(1)まずは基本の「土台」

全ての事業所に共通する大前提です。

処遇改善加算を算定していること

  • 原則:令和7年12月時点で算定している。
  • 特例:今は算定していないが、令和8年度中に算定を開始すると誓約する。

(2)加算の「ランク別」追加要件

現在取得している(または取得予定の)処遇改善加算のランクによって、求められるハードルが異なります。

🅰️ 加算 Ⅰ・Ⅱ を算定の事業所(ハードル:高)

以下の2つをクリアする必要があります。

  1. 年収460万円ルールの達成
    • 経験・技能のあるスタッフのうち、1人以上の賃金が「年額460万円以上」であること。
    • ※今は達成していなくても、令和8年度中に達成すると誓約すればOK!
  2. 職場環境等要件:14個以上
    • 職場環境等要件のリストの中から、全体で14個以上の取り組みを実施すること。
    • ※これも令和8年度中の実施を誓約すればOK!

🅱️ 加算 Ⅲ・Ⅳ を算定の事業所(ハードル:中)

求められるのは環境整備のみです。

  1. 職場環境等要件:8個以上
    • 職場環境等要件のリストの中から、全体で8個以上の取り組みを実施すること。
    • ※令和8年度中の実施を誓約すればOK!

(3)相談支援事業所などの場合

※上記の加算ランク(Ⅰ~Ⅳ)の枠組みとは異なるサービス(計画相談支援など)の場合は、以下の「仕組みづくり」が求められます。

① ルールブックの整備(就業規則など)

  • 職務内容に応じた「任用要件(採用基準)」と「賃金体系」が決まっていること。
  • それらが就業規則(または内規)として書面化され、職員に周知されていること。
    • ※小規模(10人未満)なら「内規」でもOK。
    • ※これから整備するという誓約でもOK。

② 研修計画とキャリアアップ

  • 職員と話し合って「資質向上の目標」や「研修計画」を作ること。
  • 資格取得の支援(シフト調整や費用補助など)を行うこと。
    • ※これから計画を作るという誓約でもOK。

③ 職場環境の整備

以下の区分ごとに取り組みが必要です。

※1法人1事業所のみの小規模な場合は、指定の1つ(㉔番)だけでOKの特例あり。

区分ア: 「入職促進」「キャリア支援」「両立支援」「健康管理」「やりがい」の各区分から1つ以上

区分イ: 「生産性向上(業務改善)」の中から2つ以上

最重要ポイント!賃金改善のルール|もらったお金、どう配る?

今回の、この補助金は、使い道がガチガチに決められています。 「もらった額は、すべて職員の給与として配り切る」のが絶対ルールです(事業所の利益にしてはいけません)。

具体的に「やっていいこと」「ダメなこと」を整理しました。

(1)配る方法(給与の項目)

以下のいずれか、または組み合わせで支給します。

  • 基本給
  • 手当(今回新設する「緊急支援手当」などでもOK)
  • 賞与・一時金
  • ※退職手当に充てることはできません。

(2)絶対にやってはいけない「3つのNG」

この制度では、以下の行為は固く禁止されています。

❌ NG①:既に決まっていた昇給の「穴埋め」にする

「来月、定期昇給で月5,000円上げる予定だったから、その財源にこの補助金を使おう」 これはNGです。 あくまで、「この事業のために、追加で新規に行う賃上げ」である必要があります。予定されていた昇給の上に、さらに上乗せ(オン・トップ)しなければなりません。

❌ NG②:給与の「すり替え」(不利益変更)

「補助金で手当を1万円出す代わりに、基本給を1万円下げよう」 これも絶対NGです。 前年の同時期と比べて、賃金水準が下がっていないかチェックされます。

❌ NG③:一部の人への「えこひいき」

「社長のお気に入りの職員だけに全額配る」 「忙しいA事業所だけに配って、B事業所の職員にはゼロ」 このように、職務内容や実態に見合わない極端な配分は禁止です。もちろん、役職や勤続年数に応じた「傾斜配分」はOKですが、合理的な説明がつかない偏りは避けましょう。


7 スタッフへの周知(隠すのは禁止!)

「補助金をもらったことは、職員には内緒にしておこう……」 これは認められません。以下の対応が義務付けられています。

  1. 「いくら配るか」を伝える 「今回、国の補助金を使って、これだけ賃金を上げます」という内容と内訳を、書面(メールや掲示板でも可)で全職員に周知する必要があります。
  2. 就業規則(賃金規程)を見せる 今回の賃上げに伴い変更した就業規則等の内容を、職員がいつでも見られる状態にしておく必要があります。

申請スケジュールと「千葉県」の動向について

本事業の実施主体は「都道府県」です。  そのため、申請様式や提出期限は、事業所が所在する都道府県の発表を待つ必要があります。

 一方、千葉県については、執筆時点(令和8年1月19日現在)ではまだ具体的な申請要領やマニュアルは公開されていません。  

 【重要】千葉県の事業者の皆様へ  千葉県の案内が出次第、あいまり行政書士法人の公式サイトやSNSでも速やかに情報をアップデートし、ご紹介いたします。  今のうちにできる準備としては、「令和7年12月分の国保連請求の確定情報の整理」と、「就業規則(賃金規程)の確認」です。特に賃金改善の方法を就業規則にどう明記するかは、申請時の添付書類に関わる重要なポイントになります。

【ご相談は問い合わせフォームから】

対応エリア: 千葉県全域・近隣エリア(オンライン相談も全国対応中)

参考サイト:新潟県 障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業について

この記事の監修者について

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士

障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。

経歴

  • 2021年8月
     許認可業務専門の「とおる行政書士オフィス」を設立
  • 2023年3月
     障がい福祉分野への専門特化に伴い
     「あいまり行政書士オフィス」へ事務所名を変更
  • 2024年7月
     「あいまり行政書士法人」 として法人化 (現在:4名体制

専門分野

障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)

障害福祉事業の開設支援・顧問対応

運営指導・監査対応

法改正・制度対応(日本版DBS 含む)

背景・活動

高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。

セミナー・登壇実績

障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」

行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー

事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」

情報発信(←リンクあり)

  • X(公式):あいまり行政書士法人
  • X(個人):代表・千葉直子
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