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【令和8年6月開始】やむを得ない事情による人員欠如の特例的な取扱いとは?減算猶予の要件・届出・注意点をわかりやすく解説

  • 投稿:2026年06月05日
【令和8年6月開始】やむを得ない事情による人員欠如の特例的な取扱いとは?減算猶予の要件・届出・注意点をわかりやすく解説

障害福祉サービスを運営する中で避けて通れない「突発的な職員の離職や体調不良」。人員基準を下回ると、原則3割減算という厳しい「人員欠如減算」が適用され、事業所運営に大きな打撃を与えます。
しかし、令和8年6月より、想定困難なやむを得ない事情による一時的な人員不足に対し、最大3か月間減算を猶予する特例的な取扱いがスタートします。
本記事では、対象となる具体的なケースや必須となる求人活動、自治体への届出の流れなど、実務上の注意点をわかりやすく解説します。

障害福祉サービス事業所を運営していると、職員さんの急な退職や体調不良、ご家族の事情などにより、どうしても一時的に人員配置が厳しくなってしまうことがあります。

もちろん、事業所としては日頃から人員体制を整えておくことが大切です。

ただ、現場では、どれだけ気をつけていても、急な離職が重なってしまったり、職員さんが突然長期間勤務できなくなってしまったりすることもあります。

障害福祉サービスでは、生活支援員、看護職員、就労支援員、世話人、児童指導員等について、サービスごとに必要な人員配置基準が定められています。

この配置数が、人員基準上必要とされる員数を下回った場合には、人員欠如減算の対象となり、介護給付費等が減額されることがあります。

特に、人員欠如減算は原則として3割減算となるため、事業所運営への影響はとても大きいです。

「急に職員が辞めてしまった」
「求人は出しているけれど、すぐに採用が決まらない」
「体調不良で長期間休む職員が出てしまった」

このような場合、事業所としては、利用者さんへの支援を継続しながら、人員基準や報酬上の取扱いも確認しなければならず、非常に悩ましい場面が出てきます。

そこで、令和8年6月以降、突発的で想定が困難な事情により、一時的に人員欠如が発生した場合について、一定の要件を満たすことで、3か月を超えない期間に限り、人員欠如減算が猶予される特例的な取扱いが設けられました。

ただし、この制度は、単に「人が足りないから減算を猶予してもらえる」というものではありません。

あくまで、やむを得ない事情があり、事業所としても職員確保に向けた取組を行っている場合に限られます。

今回は、障害福祉サービス事業所様向けに、「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い」について、対象となるケース、届出の流れ、実務上の注意点をわかりやすく解説します。

人員欠如減算とは?

障害福祉サービスでは、サービスごとに必要な職員配置基準が定められています。

たとえば、生活介護、就労継続支援、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスなどでは、利用者数やサービス内容に応じて、生活支援員、職業指導員、生活支援員、世話人、児童指導員、保育士などの配置が求められます。

この配置基準を満たせなくなった場合、サービス提供体制が不十分であるとして、報酬が減算されることがあります。

これが、いわゆる人員欠如減算です。

人員欠如減算に該当すると、原則として所定単位数から30%が減算されるため、事業所の収益に大きな影響があります。

そのため、人員配置は日々の運営管理の中でも、特に注意して確認しておく必要があります。

▶人員欠如減算を詳しくみる(整備中)

令和8年6月から始まる特例的な取扱いとは?

今回の見直しでは、令和8年6月以降、突発的で想定が困難な事象により、やむを得ない事情が生じた場合について、一定の条件を満たせば、すぐに人員欠如減算とせず、一定期間、減算を猶予する取扱いが設けられました。

ポイントは、次のとおりです。

・令和8年6月以降の取扱いであること
・突発的で想定が困難な事情による人員欠如であること
・人員基準上必要な員数から1割の範囲内の人員欠如であること
・ハローワーク等を活用して職員確保の取組を行っていること
・1年に1回に限られること
・3か月を超えない期間であること
・事前に届出を行うこと

つまり、「職員が足りなくなったら、何でも減算が猶予される」という制度ではありません。

あくまで、突発的で、事業所としても通常の管理では予測しにくかった事情があり、かつ、採用活動などの職員確保に向けた取組を行っている場合に限られます。

対象となるサービスは?

今回の特例的な取扱いは、主に次のようなサービス類型が対象とされています。

日中活動系、居住支援系、訓練系、就労系、障害児通所系サービスなどです。

具体的には、生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、多くの障害福祉サービス事業所で関係してくる内容です。

特に、現場職員の急な退職や長期休職が発生しやすい事業所では、今後、必ず押さえておきたい制度です。

「やむを得ない事情」として認められる例

では、どのような場合が「やむを得ない事情」として考えられるのでしょうか。

通知やQ&Aでは、たとえば次のようなケースが示されています。

1つ目は、職員本人や職員の家族の突発的な体調不良等により、1か月を超える不在が見込まれる場合です。

たとえば、職員が急病で長期療養に入ることになった場合や、家族の介護・看護等により急に長期間勤務できなくなった場合などが考えられます。

2つ目は、職員の自己都合による急な離職等が複数重なった場合です。

1名だけでなく、複数の職員が短期間に退職してしまい、通常の採用活動ではすぐに補充が間に合わないようなケースです。

このような場合には、事業所としても想定が難しく、一時的に人員基準を満たせなくなることがあります。

そのため、一定の要件を満たす場合に限り、減算猶予の対象となる可能性があります。

「やむを得ない事情」として認められない例

一方で、すべての人員不足が特例の対象になるわけではありません。

たとえば、法人の定例人事異動や、あらかじめ予定されていた定年退職は、突発的で想定が困難な事情とはいえません。

また、事業所や法人側のハラスメント行為が原因で職員が休職・退職したような場合も、やむを得ない事情とは認められない例として示されています。

つまり、事業所側で予測できたもの、または事業所側の管理上の問題が原因となっているものについては、特例の対象になりにくいと考えられます。

「人が足りないから、とりあえず特例で対応したい」という考え方ではなく、本当に突発的で、やむを得ない事情なのかを丁寧にみていく必要があります。

減算猶予を受けるために必要な取組は?

この特例の適用を受けるためには、単に人員不足が発生しただけでは足りません。

事業所として、職員確保に向けた取組を行っていることが求められます。

具体的には、ハローワーク、都道府県ナースセンター、福祉人材センター等を活用して求人を行うことが必要とされています。

また、民間職業紹介事業者を利用する場合には、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含めることが求められています。

さらに、ハローワーク等を活用している場合でも、事業所のホームページ等で採用情報を公表するなど、事業所自らも職員確保に向けた取組を行っていることが望ましいとされています。

実務上は、求人票の控え、掲載ページのスクリーンショット、応募状況、面接状況などを記録として残しておくことが大切です。

後から行政に説明できるように、「いつから、どのような求人を出し、どのような採用活動をしたのか」を記録しておきましょう。

届出は必要です

この特例を受けるためには、届出が必要です。

届出にあたっては、自治体が定める届出書や添付書類のほか、報告時点で有効な求人票の写しなどが必要になることがあります。

※指定権者のHPで確認をしましょう。

例)児童発達支援、放課後等デイ・サービスの別紙様式

いつから猶予されるのか

減算猶予は、人員欠如が発生した日の属する月の翌々月の初日から適用されるとされています。

この点は少しわかりにくいところです。

たとえば、6月に人員欠如が発生した場合、その月の翌々月である8月1日から減算猶予の適用が始まるイメージです。

ただし、実際の取扱いは自治体ごとに届出様式や確認方法が異なる可能性があります。

そのため、人員欠如が発生した場合には、自己判断で進めず、必ず指定権者へ確認することが重要です。

一部職員への過度な負担にも注意

人員が不足すると、どうしても残っている職員に業務が集中しやすくなります。

しかし、特例の通知では、一部の職員へ過度な業務負担とならないよう、職員の適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることも求められています。

つまり、減算を避けることだけが目的ではありません。

利用者への支援の質を確保しつつ、職員さんが無理なく働ける体制を整えることも重要です。

シフトの見直し、業務分担の整理、管理者による勤務状況の確認、必要に応じた一時的な応援体制なども検討していく必要があります。

まとめ

令和8年6月以降、やむを得ない事情により人員欠如が発生した場合について、一定の要件を満たすことで、3か月を超えない期間に限り、人員欠如減算が猶予される特例的な取扱いが始まります。

ただし、この制度は、単に人員が足りない事業所を広く救済するものではありません。

突発的で想定が困難な事情があること、人員欠如が必要員数の1割の範囲内であること、ハローワーク等を活用した採用活動を行っていること、届出を行うことなど、複数の要件があります。

また、1年に1回、3か月を超えない期間に限られるため、継続的な人員不足の解決策として使える制度ではありません。

実務上は、人員欠如が発生した時点で、早めに状況を整理し、指定権者へ確認することが大切です。

・こども家庭庁「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱いについて」
・厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について
・令和8年5月28日付「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い」に関するQ&A
・各自治体公表資料「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱いについて」

※本記事は、令和8年6月5時点で公表されている情報をもとに作成しています。今後、国通知や自治体の取扱いにより、内容が変更される可能性があります。実際の届出や減算猶予の適用については、必ず指定権者へ確認してください。

この記事の監修者について

 千葉 直子
 あいまり行政書士法人 代表・行政書士。
障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設支援、顧問対応、運営指導・監査対応、法改正対応などを中心にサポートしています。制度理解にとどまらず、現場実務と法令遵守を見据えた実装支援を強みとしています。

経歴

2021年8月 とおる行政書士オフィス設立
2023年3月 あいまり行政書士オフィスへ事務所名変更
2024年7月 あいまり行政書士法人として法人化

情報発信

SNS・YouTube等の発信一覧はこちら

その他、セミナー・執筆活動を行っています。

「法令と実務事例解説セミナー」

 障害福祉制度・運営実務セミナー

「就労継続支援B型開業実践講座」・「児発・放デイ開業実践講座」

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