代表・行政書士
千葉直子
障害福祉専門 あいまり行政書士法人 代表行政書士 千葉直子
放課後等デイサービス・児童発達支援、就労系を中心に、障害福祉事業の開設支援から運営支援、法改正対応、運営指導対策まで一貫してサポートしています。制度の条文解釈だけでなく、現場実務や事業継続を見据えた「実装できる制度対応」を重視し、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを支援しています。福祉系大学卒業
Contents
児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援に必要な「自己評価結果等の公表」について、実施の流れ、届出期限、未公表減算、自治体ごとの締切の違い、実務上の注意点をわかりやすく解説します。公表と届出の違いや、新規指定事業所の対応も確認しましょう。
目次
児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所を運営していると、毎年確認が必要になるものの一つに、「自己評価結果等の公表」があります。
自己評価結果等の公表とは、事業所が提供している支援の質について、事業所自身による評価や保護者からの評価を行い、その結果や改善内容をインターネット等で公表する手続きです。
特に5月前後になると、(※千葉県の例、エリアで時期に注意してください)
「自己評価結果等の公表はいつまでにすればよいの?」
「公表はしたけれど、行政への届出を忘れていた」
「新規指定の事業所も提出が必要なの?」
「保育所等訪問支援も対象になるの?」
「未公表減算は何%なの?」
このようなご相談をいただくことがあります。
自己評価結果等の公表は、単なる形式的な手続きではありません。未公表や届出漏れがあると、
自己評価結果等未公表減算 所定単位数の100分の85
※ 所定単位数とは、各種加算がなされる前の単位数を指す。
の減算の可能性があります。
この記事では、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援における自己評価結果等の公表について、令和6年度の報酬改定・運営基準改正を踏まえた実務上の流れ、届出期限、未公表減算の考え方、注意点をわかりやすく解説します。

自己評価結果等の公表とは、事業所が提供している支援について、定期的に振り返りを行い、その結果を保護者や地域に向けて公表する仕組みです。
児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所では、おおむね1年に1回以上、ガイドラインを踏まえて、支援の質の評価及び改善を行うこととされています。
具体的には、次のような評価を行います。
・従業者による自己評価
・保護者による評価
・評価結果を踏まえた事業所全体での自己評価
・課題や改善点の整理
・改善に向けた取組内容の検討
・評価結果や改善内容の保護者への提示・公表
ここで大切なのは、単にアンケートを集計して公表すればよい、というものではない点です。
こども家庭庁の事務連絡でも、自己評価結果については、「はい」「いいえ」の集計結果を公表すること自体が目的ではなく、全従業者による共通理解のもとで、事業所の強みや弱みを分析し、支援の質の向上につなげていくことが重要とされています。
つまり、自己評価は「行政に提出するための作業」ではなく、日々の支援を見直すための重要な機会と考える必要があります。
自己評価結果等の公表が必要となる主な対象サービスは、次のとおりです。
・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・保育所等訪問支援
児童発達支援と放課後等デイサービスでは、従業者評価と保護者評価を行い、その結果を踏まえて事業所全体で自己評価を行います。
一方、保育所等訪問支援については、従業者評価と保護者評価に加えて、訪問先施設による評価も行う必要があります。
保育所等訪問支援は、令和6年度報酬改定により自己評価等の実施・公表の対象となり、令和7年4月1日以降、公表していない場合には未公表減算が適用されることとされています。
保育所等訪問支援を行っている事業所様は、児童発達支援や放課後等デイサービスと同じ感覚で進めるのではなく、訪問先施設評価が必要になる点に注意が必要です。

令和6年度の運営基準改正により、自己評価の前に従業者の評価を受けることなどが明確化されています。
自己評価は、次のような流れで進めます。
まずは、事業所の従業者が、事業者向け自己評価表を活用して評価を行います。
このとき、「はい」「いいえ」にチェックするだけではなく、各項目について、工夫している点、課題と感じている点、改善が必要な点なども記入することが大切です。
管理者や児童発達支援管理責任者だけで評価するのではなく、できる限り全従業者から意見を集めることで、現場の実態に近い評価ができます。
次に、利用児童の保護者に対して、保護者向け評価表を配布し、アンケートを実施します。
保護者評価は、事業所の支援が利用者側からどのように見えているかを確認するための大切な資料です。
回答率が低い場合、事業所の実態を十分に把握できない可能性があります。そのため、配布方法や回答期限の案内、リマインドなどを工夫し、できるだけ多くの保護者から回答を得られるようにしましょう。
従業者評価と保護者評価の結果を踏まえ、事業所全体で自己評価を行います。
この段階では、ミーティング等の機会を活用して、従業者同士で意見交換を行うことが重要です。
事業所の強みは何か、弱みは何か、どの部分を改善すべきか、今後どのような取組を行うのかを整理します。
特に、事業所側と保護者側で評価に差がある項目は、見直しの大きなきっかけになります。
たとえば、事業所側では「保護者との連携はできている」と考えていても、保護者評価では「説明が不十分」と感じられている場合があります。
このようなズレを把握し、改善につなげることが自己評価の大きな目的です。
自己評価の結果を踏まえ、改善に向けた具体的な取組を検討します。
たとえば、次のような内容です。
・保護者への説明方法を見直す
・支援内容の記録方法を統一する
・職員間の情報共有の時間を増やす
・個別支援計画との連動を強化する
・研修やミーティングの機会を設ける
・ヒヤリハットや事故防止の仕組みを見直す
自己評価は、結果を公表して終わりではありません。
改善内容を日々の支援に反映させるところまでが重要です。
評価結果と改善内容を整理したら、インターネット等で公表します。
令和6年度の改正により、公表だけでなく、保護者に示すことも明確化されています。
公表方法としては、事業所のホームページへの掲載が一般的です。ホームページがない場合には、法人サイトへの掲載、事業所内での掲示、保護者への配布など、指定権者が認める方法で対応することになります。
※自治体によって求められる公表方法や添付資料が異なる場合がありますので、必ず指定権者の案内を確認しましょう。

たとえば、千葉県の案内では、自己評価結果等の公表に係る届出書に記入し、公表した集計表等を添付したうえで、毎年度5月31日まで必着で提出することとされています。
(指定権者により締切が違います。※いわき市は、毎年度3月20日まで)
また、複数のサービスを行っている事業所については、サービスごとに自己評価結果及び保護者評価結果を添付することが求められています。
同じ事業所で児童発達支援と放課後等デイサービスを実施している場合、多機能型であっても、サービスごとに自己評価結果及び保護者評価結果の作成・添付が必要となる場合があります。
特に千葉県では、複数サービスを行っている事業所について、サービスごとに自己評価結果及び保護者評価結果を添付するよう案内されています。
「多機能型だから1つでよい」と考えてしまうと、指定権者から差替えや追加提出を求められる可能性がありますので、必ず管轄自治体の取扱いを確認しましょう。
自己評価結果等を公表していない場合や、公表していても行政への届出をしていない場合には、自己評価結果等未公表減算の対象となる可能性があります。
自己評価結果等未公表減算は、 所定単位数の100分の85 減算される大きなペナルティです。
公表や届出が漏れてしまうと、事業所の収入に大きな影響が出る可能性があります。
ホームページ等での公表はしていたものの、指定権者への届出を忘れていた場合、届出を行う月までの間、減算の適用を受ける可能性があります。
ここで注意したいのは、「ホームページに掲載していれば大丈夫」とは限らない点です。
公表と届出は別の手続きです。
ホームページに掲載していても、指定権者に届出をしていなければ、減算の対象となる可能性があります。
令和6年度から、WAM NETなどの「障害福祉サービス等情報公表システム」への未報告に対する情報公表未報告減算も設けられています。
この情報公表未報告減算は、自己評価結果等未公表減算とは別の制度です。
名前が似ているため混同しやすいですが、次のように分けて考える必要があります。
・自己評価結果等未公表減算
→ 児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援における自己評価結果等の公表・届出に関する減算
・情報公表未報告減算
→ 障害福祉サービス等情報公表システムへの報告に関する減算
「自己評価結果をホームページに掲載したから、情報公表システムも大丈夫」
「WAM NETの報告をしたから、自己評価結果等の届出も完了している」
このように考えてしまうのは危険です。
それぞれ別の手続きとして、期限や必要書類を確認しましょう。
新設された事業所については、指定日より1年間は未公表減算の適用がないとされている自治体があります。
ただし、「新規指定だから1年間は何もしなくてよい」と考えるのは危険です。
指定から1年を経過した後は、公表・届出が完了していない場合、未公表減算の対象となる可能性があります。
そのため、指定から1年を迎える前に、初回の一連の手続きである、評価・公表・届出を完了できるよう準備しておくことが重要です。
また、千葉県などのように、減算適用外の新設事業所であっても、「自己評価結果等の公表に係る届出書」の提出を求めている自治体もあります。
新規指定の事業所であっても、早い段階から年間スケジュールに自己評価を組み込んでおくことをおすすめします。
自己評価結果等の公表は、年度末から5月にかけて作業が集中しやすい手続きです。
おすすめのスケジュールは、次のような流れです。
※締切により始める月は早めてください。
従業者評価と保護者アンケートを実施します。
保護者アンケートは回収に時間がかかることが多いため、早めに配布し、回答期限を明確にしておくことが大切です。
評価結果を集計し、事業所全体でミーティングを行います。
保護者評価と従業者評価を比較し、事業所の強みや課題、改善すべき点を整理します。
改善内容を整理し、ホームページ等で公表します。
あわせて、保護者に対して評価結果や改善内容を示す対応も行います。
届出書と添付資料を指定権者へ提出します。
5月31日が期限とされている自治体では、必着扱いとなる場合があります。郵送の場合は、期限直前ではなく、余裕を持って発送しましょう。
このように逆算して進めることで、期限直前に慌てることを防ぐことができます。
自己評価結果等の公表は、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の事業所にとって、毎年必要となる重要な手続きです。
令和6年度の報酬改定・運営基準改正により、従業者評価を踏まえた自己評価の実施や、保護者への提示、保育所等訪問支援における訪問先施設評価など、実務上確認すべきポイントが増えています。
期限内に公表・届出を行わなかった場合、自己評価結果等未公表減算として、基本報酬の15%が減算される可能性があります。
公表しただけで安心せず、必ず指定権者への届出までセットで完了させましょう。
特に、次の点は必ず確認しておくことが大切です。
・おおむね1年に1回以上、自己評価等を実施しているか
・従業者評価を実施しているか
・保護者評価を実施しているか
・保育所等訪問支援では訪問先施設評価を実施しているか
・事業所全体で評価結果を分析しているか
・改善内容を具体的に整理しているか
・インターネット等で公表しているか
・保護者へ評価結果や改善内容を示しているか
・指定権者へ届出書を提出しているか
・複数サービスの場合、サービスごとの取扱いを確認しているか
・情報公表システムへの報告と混同していないか
自己評価は、減算を避けるためだけのものではありません。
保護者の声、職員の声、事業所の課題を整理し、よりよい支援につなげるための大切な機会です。
毎年の業務としてスケジュール化し、余裕を持って対応していきましょう。
あいまり行政書士法人では、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の指定申請、変更届、加算届、運営書類の整備、運営指導に向けた確認など、障害福祉サービス事業所様の運営をサポートしております。
自己評価結果等の公表や届出について不安がある事業所様は、お早めにご相談ください。

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士。
障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設支援、顧問対応、運営指導・監査対応、法改正対応などを中心にサポートしています。制度理解にとどまらず、現場実務と法令遵守を見据えた実装支援を強みとしています。
2021年8月 とおる行政書士オフィス設立
2023年3月 あいまり行政書士オフィスへ事務所名変更
2024年7月 あいまり行政書士法人として法人化

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