代表・行政書士
千葉直子
障害福祉専門 あいまり行政書士法人 代表行政書士 千葉直子
放課後等デイサービス・児童発達支援、就労系を中心に、障害福祉事業の開設支援から運営支援、法改正対応、運営指導対策まで一貫してサポートしています。制度の条文解釈だけでなく、現場実務や事業継続を見据えた「実装できる制度対応」を重視し、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを支援しています。福祉系大学卒業
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放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所様からご相談が多い「上限管理(正式名称:利用者負担上限額管理)」。
複数の事業所を利用する場合や、きょうだいで利用する場合に必要となる大切な手続きですが、「どの事業所が担当するの?」「届出を出していないとどうなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、今さら聞けない上限管理の仕組みから、実務の流れ、事業所様・保護者様それぞれの注意点まで、わかりやすく解説します。
目次
放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所様からご相談をいただくことが多い手続きのひとつに「上限管理」があります。
正式には、利用者負担上限額管理といいます。
「上限管理って?」
「複数の事業所を利用している場合は必要ですか?」
「上限管理事業所は、どこが担当するの?」
「届出を出していないと、上限管理加算は請求できないのでしょうか?」
このような疑問をお持ちの事業所様も多いのではないでしょうか。
障害児通所支援では、利用者負担は原則としてサービス費用の1割とされていますが、世帯の所得状況に応じて、月ごとの負担上限額が設定されています。
そのため、複数の事業所を利用している場合などには、利用者負担額が上限月額を超えないように、事業所間で調整を行う必要があります。
この記事では、今さら聞けない、放課後等デイサービス・児童発達支援における上限管理について、保護者様・事業所様の双方に向けて、できるだけわかりやすく解説していきます。

上限管理とは、簡単にいうと、利用者負担額が月ごとの上限額を超えないように調整する仕組みです。
たとえば、利用者負担上限月額が4,600円のご家庭の場合、児童発達支援や放課後等デイサービスを複数利用していたとしても、原則として、その月の利用者負担額が4,600円を超えないように調整されます。
1つの事業所だけを利用している場合は、通常、その事業所の中で利用者負担額を確認できます。
一方で、複数の事業所を利用している場合、それぞれの事業所が別々に利用者負担を計算して請求してしまうと、合計額が上限月額を超えてしまうことがあります。
そこで、代表となる事業所を1か所決め、その事業所が各事業所の利用者負担額を取りまとめ、上限月額を超えないように調整します。
これが、障害児通所支援における「上限管理」です。

障害児通所支援事業所は、サービスを提供した場合、保護者様から原則としてサービス費用の1割を利用者負担額として受け取ります。利用者負担額を受け取ったときは、領収証の交付が必要です。また、事業所が市町村から給付費を受け取った場合は、その金額を保護者様へ通知する必要があります。なお、利用者負担額には、世帯の所得に応じて1か月あたりの上限額が決められています。そのため、サービスを多く利用しても、原則として受給者証に記載された上限額を超える負担はありません。

上限管理が必要になりやすいのは、主に次のようなケースです。
複数の事業所を利用している場合
たとえば、
月曜日・水曜日はA放課後等デイサービス
火曜日・金曜日はB放課後等デイサービス
を利用しているような場合です。
このように、同じ月に複数の障害児通所支援事業所を利用している場合には、利用者負担額の合計が上限月額を超えないように、上限管理が必要になることがあります。
事業所様としては、契約時や利用開始時に、他の事業所の利用状況を確認していきましょう!
※記載が間に合っていない場合もあります。

同じ世帯に、障害児通所支援を利用しているお子様が2名以上いる場合も注意が必要です。
同一世帯に障害児通所支援を利用している児童が2名以上いる場合、児童全員の利用者負担額を合算し、調整を行う必要があるとされています。
きょうだいで別々の事業所を利用している場合には、どの事業所が上限管理を行うのか、早めに確認しておく必要があります。
上限管理が必要かどうかを確認するうえで、まず大切なのが受給者証の確認です。
事業所様は、契約時や利用開始時に、受給者証の記載内容を必ず確認しておくことが重要です。
同一世帯に、障害福祉サービスまたは障害児通所支援を利用する障害児が複数いる場合、これまで市町村へ帳票等で提出していた「複数児童用上限額管理結果票」について、
令和7年5月請求分から、国保連合会への電子請求が可能になっています。
対象となるのは、同一世帯に複数の障害児がいて、それぞれがサービスを利用しているケースです。1つの事業所を複数の児童が利用している場合も対象に含まれます。
電子請求は、令和7年5月請求時、つまり令和7年4月サービス提供分から可能です。開始にあたり、特別な手続きは不要で、使用している請求ソフトで請求を行います。
上限管理を行う事業所を、上限管理事業所といいます。
上限管理事業所は、保護者様が自由にどこでも選ぶというよりも、実務上は、利用日数や契約日数が多い事業所、主たる利用先となっている事業所が担当することが多いです。
たとえば、
A事業所を月12日
B事業所を月4日利用している場合には、
A事業所が上限管理事業所となるケースが多いと考えられます。
※ただし、自治体によって運用の確認が必要な場合もあります。
事業所間で十分に連絡を取らずに進めてしまうと、利用者負担額の調整漏れや請求誤りにつながる可能性があります。そのため、複数事業所を利用していることが分かった時点で、保護者様、相談支援専門員、各事業所の間で、どの事業所が上限管理を行うのかを早めに確認しておきましょう。
上限管理を行う場合、多くの自治体では、利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書の提出が必要です。
また、上限管理加算を請求する場合には、事前に上限管理の届出を行い、市の登録に上限管理事業所が反映されていることが必要となります。
ここは、事業所様にとって非常に重要なポイントです。
実際に上限管理を行っていたとしても、
・届出がされていない
・自治体での手続きが完了していない
という場合には、上限管理加算の請求に影響する可能性があります。
特に、利用開始月から上限管理が必要になる場合には、届出の提出期限や、いつから受給者証に反映されるのかを、事前に自治体へ確認しておくことをおすすめします。
※書式例(柏市)

上限管理の実務は、一般的には次のような流れで進みます。
まず、利用者様が複数の障害児通所支援事業所を利用しているかを確認します。
次に、受給者証で、利用者負担上限月額、上限管理の該当有無、支給量などを確認します。
そのうえで、上限管理事業所を決め、利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書を自治体へ提出します。(利用児さんの保護者さんが多いですが、エリアによっては相談支援専門員さんなことも)
毎月の請求時には、各事業所から利用者負担額の情報を集め、上限管理事業所が上限管理結果票を作成します。
その結果に基づき、各事業所が利用者負担額を徴収し、国保連への請求を行います。
特に、月途中で事業所を追加した場合、きょうだい利用がある場合、利用日数が大きく変わった場合などは、上限管理の取り扱いに注意が必要です。

障害児通所支援事業所様が、上限管理で特に注意したいポイントは、主に3つです。
受給者証の確認を徹底する
契約時には、受給者証の内容を必ず確認しましょう。
特に、
・利用者負担上限月額
・支給量
・上限管理対象の有無
・他事業所の利用状況
は、必ず確認しておきたい項目です。
保護者様が「他の事業所も少し利用しています」とお話しされていたとしても、事業所側で確認しないまま請求を進めてしまうと、後から調整が必要になることがあります。
契約時の確認項目として、他事業所利用の有無を入れておくと安心です。
上限管理は、1つの事業所だけで完結する手続きではありません。
複数事業所の利用者負担額を取りまとめる必要があるため、毎月の情報共有が必要になります。
どのタイミングで、どの様式で、誰に送るのかを事前に決めておくと、請求月の混乱を防ぐことができます。
特に、月初の請求業務の時期は、各事業所様も忙しくなりやすいため、上限管理の連絡フローをあらかじめ整えておくことが大切です。
上限管理加算を請求する場合は、事前の届出が重要です。
「届出を出したつもり」
「保護者様にお願いしたつもり」
「他の事業所が対応していると思っていた」
という状態のまま進めてしまうと、請求時に確認が必要になることがあります。
実際に自治体で手続きが完了しているか、受給者証に上限管理事業所が反映されているかを、必ず確認しておきましょう。
保護者様側でも、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
まず、複数の事業所を利用する場合は、そのことを各事業所に伝えておきましょう。
また、上限管理事業所をどこにするかについては、事業所や相談支援専門員と相談しておくことが大切です。
きょうだいで障害児通所支援を利用している場合も、必ず事業所へ伝えてください。
利用者負担上限月額を超えて請求されないようにするためには、保護者様、事業所、相談支援専門員の情報共有がとても重要です。
障害児通所支援の上限管理は、利用者負担額が月ごとの上限額を超えないようにするための大切な仕組みです。
特に、放課後等デイサービスや児童発達支援を複数利用している場合、きょうだいで利用している場合には、上限管理が必要になることがあります。
事業所様にとっては、受給者証の確認、上限管理事業所の確認、届出の提出、他事業所との連絡、上限管理結果票の作成など、実務上の注意点が多い部分です。
また、上限管理加算を請求する場合には、事前の届出や受給者証への反映が必要となるため、早めの確認が大切です。
あいまり行政書士法人では、児童発達支援・放課後等デイサービスなど、障害児通所支援事業所様の指定申請、変更届、運営指導対策、請求・加算関係のご相談を承っております。
上限管理の取り扱いや、自治体への届出、請求実務でご不安がある事業所様は、個別の状況を確認したうえでサポートいたします。

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士。
障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設支援、顧問対応、運営指導・監査対応、法改正対応などを中心にサポートしています。制度理解にとどまらず、現場実務と法令遵守を見据えた実装支援を強みとしています。
2021年8月 とおる行政書士オフィス設立
2023年3月 あいまり行政書士オフィスへ事務所名変更
2024年7月 あいまり行政書士法人として法人化

「法令と実務事例解説セミナー」
障害福祉制度・運営実務セミナー
「就労継続支援B型開業実践講座」・「児発・放デイ開業実践講座」
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