代表・行政書士
千葉直子
障害福祉専門 あいまり行政書士法人 代表行政書士 千葉直子
放課後等デイサービス・児童発達支援、就労系を中心に、障害福祉事業の開設支援から運営支援、法改正対応、運営指導対策まで一貫してサポートしています。制度の条文解釈だけでなく、現場実務や事業継続を見据えた「実装できる制度対応」を重視し、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを支援しています。福祉系大学卒業
Contents
令和7年12月に国が創設した「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業補助金」は、次期報酬改定を待たずに、障害福祉分野の人材流出を防ぐために実施される緊急的な賃上げ支援制度です。
本記事では、制度の背景や位置づけ、対象事業所・対象職員の範囲、補助額の考え方、賃金改善における実務上の注意点を、障害福祉専門の行政書士が整理して解説します。
「自社は対象になるのか」「何を準備すべきか」を判断するための基礎情報としてご活用ください。
目次
こんにちは、あいまり行政書士法人です。 日々の事業所運営、本当にお疲れ様です。
さて、昨今の物価高騰や他産業の賃上げニュースを見て、「うちの職員の給与も上げてあげたいけれど、報酬改定までは厳しい……」と頭を悩ませている経営者様も多いのではないでしょうか。
そんな中、国から「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」という、非常に重要な施策が動き出しています。
一言で言えば、「次の報酬改定(令和8年4月)を待たずに、今すぐ賃上げをするための緊急の補助金」です。
今回は、この制度の仕組みと、「経営者としてここだけは押さえておきたいポイント」を、障がい福祉専門の行政書士がわかりやすく解説します。

本来、報酬(単価)の見直しは、3年に1回です。 しかし、皆さまも日々実感されている通り、今の日本経済は「来年まで待てる」状況ではありません。
「物価は上がり続ける」 「他業種では給料がどんどん上がっている」 「このままでは、福祉の現場から人がいなくなってしまう」
国もこうした危機感を抱き、「次の改定まで待っていたら現場が崩壊してしまう」と判断しました。そこで今回、特例として急遽用意されたのがこの補助金です。
大切なのは、これが恒久的なルール変更ではなく、「次の改定までのピンチを凌ぐための、一時的な『つなぎ』である」という点です。
事業所の「規模(総報酬)」に応じて計算されます。
補助額 = 基準月(原則:令和7年12月等)の総報酬額 × 交付率
この交付率はサービス種別ごとに決められています。 算出された補助額は、全額を賃金改善(職員への還元)に充てる義務があります。会社に残すことはできません。
令和7年12月 ~ 令和8年5月 までの賃金改善分 (※令和8年6月以降は、次期報酬改定での対応に引き継がれる見込みです)
障がい福祉サービス事業所等の広範なサービスが対象です。
ここがポイントです。「福祉・介護職員」という職種限定ではありません。 「事業所等の業務に従事している障がい福祉従事者」であれば、職種を問わず広く対象にできます。 (※ただし、役員等は原則対象外となるケースが一般的です)



制度の対象となるには、原則として「令和7年12月(基準月)」時点で、以下の要件をクリアしている必要があります。
ただし、ここが一番のポイントです。 現時点でクリアしていなくても、「令和8年度中(~2027年3月)にやります!」と誓約(約束)すれば、申請OKとなるケースがほとんどです。
「今はまだ出来ていないから……」と諦めず、まずは要件を確認しましょう。
全ての事業所に共通する大前提です。
処遇改善加算を算定していること
- 原則:令和7年12月時点で算定している。
- 特例:今は算定していないが、令和8年度中に算定を開始すると誓約する。
現在取得している(または取得予定の)処遇改善加算のランクによって、求められるハードルが異なります。
以下の2つをクリアする必要があります。
求められるのは環境整備のみです。
※上記の加算ランク(Ⅰ~Ⅳ)の枠組みとは異なるサービス(計画相談支援など)の場合は、以下の「仕組みづくり」が求められます。
以下の区分ごとに取り組みが必要です。
※1法人1事業所のみの小規模な場合は、指定の1つ(㉔番)だけでOKの特例あり。
区分ア: 「入職促進」「キャリア支援」「両立支援」「健康管理」「やりがい」の各区分から1つ以上。
区分イ: 「生産性向上(業務改善)」の中から2つ以上。
今回の、この補助金は、使い道がガチガチに決められています。 「もらった額は、すべて職員の給与として配り切る」のが絶対ルールです(事業所の利益にしてはいけません)。
具体的に「やっていいこと」「ダメなこと」を整理しました。
以下のいずれか、または組み合わせで支給します。
この制度では、以下の行為は固く禁止されています。
「来月、定期昇給で月5,000円上げる予定だったから、その財源にこの補助金を使おう」 これはNGです。 あくまで、「この事業のために、追加で新規に行う賃上げ」である必要があります。予定されていた昇給の上に、さらに上乗せ(オン・トップ)しなければなりません。
「補助金で手当を1万円出す代わりに、基本給を1万円下げよう」 これも絶対NGです。 前年の同時期と比べて、賃金水準が下がっていないかチェックされます。
「社長のお気に入りの職員だけに全額配る」 「忙しいA事業所だけに配って、B事業所の職員にはゼロ」 このように、職務内容や実態に見合わない極端な配分は禁止です。もちろん、役職や勤続年数に応じた「傾斜配分」はOKですが、合理的な説明がつかない偏りは避けましょう。
「補助金をもらったことは、職員には内緒にしておこう……」 これは認められません。以下の対応が義務付けられています。
本事業の実施主体は「都道府県」です。 そのため、申請様式や提出期限は、事業所が所在する都道府県の発表を待つ必要があります。
一方、千葉県については、執筆時点(令和8年1月19日現在)ではまだ具体的な申請要領やマニュアルは公開されていません。
【重要】千葉県の事業者の皆様へ 千葉県の案内が出次第、あいまり行政書士法人の公式サイトやSNSでも速やかに情報をアップデートし、ご紹介いたします。 今のうちにできる準備としては、「令和7年12月分の国保連請求の確定情報の整理」と、「就業規則(賃金規程)の確認」です。特に賃金改善の方法を就業規則にどう明記するかは、申請時の添付書類に関わる重要なポイントになります。
【ご相談は問い合わせフォームから】
対応エリア: 千葉県全域・近隣エリア(オンライン相談も全国対応中)
参考サイト:新潟県 障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業について

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士
障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。
障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)
障害福祉事業の開設支援・顧問対応
運営指導・監査対応
法改正・制度対応(日本版DBS 含む)
高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。
障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」
行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー
事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」
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