代表・行政書士
千葉直子
障害福祉専門 あいまり行政書士法人 代表行政書士 千葉直子
放課後等デイサービス・児童発達支援、就労系を中心に、障害福祉事業の開設支援から運営支援、法改正対応、運営指導対策まで一貫してサポートしています。制度の条文解釈だけでなく、現場実務や事業継続を見据えた「実装できる制度対応」を重視し、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを支援しています。福祉系大学卒業
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日本版DBS(こども性暴力防止法)とは何か。制度が成立した背景や趣旨、事業者が押さえるべき基本ポイントを障害福祉行政書士法人の行政書士が整理して解説します。今回の記事は【第8回シリーズ】の第1回目です。
目次
近年、子どもに対する性犯罪が後を絶たず、お預かりするお子様の安全確保は、事業所にとってこれまで以上に重要な経営課題となっています。特に、障がいのあるお子様や発達に特性のあるお子様は、万が一被害にあっても自ら訴えることが難しいケースも多く、より強固な未然防止策が社会的に求められています。
こうした中、2026年(令和8年)12月25日より「こども性暴力防止法(通称:日本版DBS)」がいよいよ施行される予定です。 本日は2026年1月2日です。施行まで残すところあと1年を切りました。この機会に、法律が制定された趣旨の理解から、現場での実装、そして何より子どもたちをどう守り抜くかについて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
なお、こども家庭庁の資料において、本法の対象(義務化)として指定障害児通所支援事業(以下)も、例示されています。

本制度の最大の目的は、「子どもが安心して教育や保育を受けられる社会の実現」にあります。 性暴力は、子どもの心身の発達に深刻な影響を及ぼし、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。 このため、本法は単に性犯罪歴を確認するだけでなく、学校や認定事業者に対し、「従事者による性暴力を防止するための措置(安全確保措置)」を講じることを法律上の義務として定めています。

こども家庭庁の資料によれば、本法において事業者が取り組むべき措置は、以下の3本の柱で構成されています。

法律の適用には、「義務対象」と「認定対象」の2種類があります。
義務対象(学校設置者等): 学校、認可保育所、児童養護施設などは、公立・私立を問わず、全ての施設・事業者が対象となり、上記措置が義務付けられます。
認定対象(民間教育保育等事業者): 放課後児童クラブ、学習塾、スイミングスクール、そして認可外の施設などは、こども家庭庁に申請し、「認定」を受けた場合に本法の対象となります。
指定障害児通所支援事業(放課後等デイサービス等)は、本法において学校や認可保育所と同じく、最も責任のある『義務対象事業者(学校設置者等)』として位置づけられています。これは、任意の認定制度を利用する学習塾等とは異なり、法律によって安全対策の実施が必須とされることを意味します。法の施行と同時に法的義務が発生するため、確実な準備を進めることが、事業継続の前提条件であり、保護者の皆様の安心と信頼を守るための責務となります。
本連載では、制度の正確な理解と、施行に向けた実務的な準備について順を追って解説していきます。まずは「子どもの尊厳を守る」という本法の趣旨を、経営の柱として再認識いただければ幸いです。
こども家庭庁の資料において、本法の対象(義務化)として指定障害児通所支援事業(以下)も、例示されています。
子どもに関わる仕事において、「安全をどのように担保するのか」は、これまで以上に重要な経営課題となっています。
その中で近年、注目を集めているのが「日本版DBS」です。
本記事では、日本版DBSについて、制度の全体像・成立の背景・趣旨を整理し、法人・経営者が最初に押さえるべき基本事項を解説します。
日本版DBSとは、子どもと関わる業務に従事する者について、一定の性犯罪歴等の有無を確認する仕組みを指します。
これは、いわゆる通称であり、正式には「こども性暴力防止法」に基づく制度として位置づけられています。
この制度の目的は,こどもへの性暴力を未然に防止し、安全な環境を確保すること。
事業者が採用や配置を行う際、一定の情報を踏まえた判断を可能にすることで、リスクの低減を図る制度です。
重要なのは、日本版DBSが「犯歴を理由に一律に排除する制度」ではない、という点です。あくまで、事業者が適切な判断を行うための仕組みとして設計されています。
本制度導入の背景には、国内外で相次いだ子どもに対する性被害事案の深刻化があります。 学校、保育所、スポーツクラブ、そして、指定障害児通所支援事業(放課後等デイサービス・児童発達支援)など、子どもと日常的に接し、密接に関わる現場において、被害が発生してから対処する「事後対応」だけでは、子どもの尊厳を守るには限界があることが明らかになりました。
これまで日本では、採用時に教育・保育職等の犯罪歴を網羅的に確認する公的な仕組みが存在しておらず、安全確保は各事業者の独自の判断や努力のみに委ねられてきました。 しかし、特に障害福祉の現場なども含め、以下のような構造的な課題が長年未解決のままとなっていました。
子どもは被害を訴えにくい (特に、障害特性により意思表示が難しいお子様の場合、被害事実を伝えること自体が困難なケースも少なくありません)
被害が表面化するまで時間がかかる (密室性が高まりやすい支援現場や、指導という名目との境界が曖昧にされ、発覚が遅れる傾向があります)
事業者側も十分な情報を持てない (面接時の申告等に頼らざるを得ず、再犯リスクのある者を完全に見抜くことができません)
これらの課題により、性犯罪歴のある者が再び子どもに関わる業務に就き、再犯に至る事例も後を絶ちません。こうした現状を打破し、社会全体で子どもを守るための「制度としての予防策」が必要であると強く判断されたのです。
日本版DBSは、イギリスの「DBS(Disclosure and Barring Service)」を参考に制度設計が進められました。
イギリスでは、子どもや脆弱な立場の人に関わる職種について、犯罪歴の開示・確認が長年制度化されています。
ただし、日本版DBSは、イギリス制度をそのまま導入するものではありません。
・日本の法制度・個人情報保護との整合性
・事業者・従事者双方への影響
・段階的導入の必要性
これらを踏まえ、日本の実情に合わせた形で設計されています。

日本版DBS制度は、政府内での検討を経て、こども家庭庁を中心に制度設計が進められてきました。こども家庭庁は、「子どもの安全を社会全体で守る」という理念のもと、
関係省庁と連携しながら法案を取りまとめています。
この結果成立したのが、こども性暴力防止法です。
・制度の目的
・対象となる業務や事業者
・情報の取扱い
など、制度の骨格が定められています。 今後は、具体的な運用について、政省令やガイドラインによって詳細が示される予定です
日本版DBSは、成立した法律を基に、段階的に施行される予定です。
現時点では、
・直ちに全事業者へ一律義務化されるものではない
・一定の準備期間が設けられる
とされています。
一方で、制度の対象となる可能性が高い業種・分野では、早期の情報収集と体制検討が不可欠です。
特に、子どもと継続的に関わる事業を行う法人にとっては、
「制度開始後に慌てて対応する」ことが、経営リスクにつながる可能性もあります。

本記事の要点を整理します。
次回以降は、制度の具体的な内容、対象となる事業者・業務、実務対応について、
順を追って解説していきます。
※本記事は、制度理解のための一般的な情報提供を目的としています。
個別の事業内容・運営体制に応じた対応については、各専門家への確認をおすすめします。
※参考サイト こども性暴力防止法(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

千葉 直子
あいまり行政書士法人 代表・行政書士
障がい福祉分野に特化し、障害福祉事業所の開設・運営・行政対応を専門にサポートする行政書士。制度理解にとどまらず、現場実務・運営指導・法令遵守を見据えた実装支援を強みとする。
障害福祉サービス全般
(児童発達支援/放課後等デイサービス/就労系サービス ほか)
障害福祉事業の開設支援・顧問対応
運営指導・監査対応
法改正・制度対応(日本版DBS 含む)
高校・大学時代にボランティア部に所属し、福祉分野での活動を経験。
福祉系大学卒業後、子育て中に「制度と現場の間に生じるズレ」を埋める支援を志し、行政書士として開業。現在は、事業者が安心して支援に専念できる体制づくりを重視した実務支援を行っている。
障害福祉行政書士向け 「法令と実務事例解説セミナー」
行政書士向けコミュニティでの 障害福祉制度・運営実務セミナー
事業所向け「就労継続支援B型開業実践講座」
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